カルピス社は、「ほっとレモン」の文字を赤い枠で囲んだ商標を平成21年12月1日に出願し、平成23年6月27日登録査定となりました。しかしながら、訴外のサントリーホールディングス社等から登録異議申立がなされ、平成24年9月4日に本件商標の商標登録の取消決定がなされ、その謄本は同月13日に原告に送達されました。
原告はこれを不服として本件訴訟を提起しました。
本件訴訟の争点は商標法3条1項3号と同2項に該当するかどうかです。
まず、3条1項3号に該当するかについては、知財高裁は「本件商標は、別紙商標目録記載1のとおり、本件文字部分を上下二段に横書きし、これを本件輪郭部分で囲んだ構成からなり、これらの文字と輪郭線とを同じ赤系色で彩色したものである。本件文字部分のうち、片仮名『レモン』部分は、指定商品(第32類『レモンを加味した清涼飲料、レモンを加味した果実飲料』)を含む清涼飲料・果実飲料との関
係では、果実の『レモン』又は『レモン果汁を入れた飲料又はレモン風味の味付けをした飲料』であることを意味し、また本件文字部分のうち、平仮名『ほっと』部分は、上記指定商品との関係では、『熱い』、『温かい』を意味すると理解するのが自然である。また、本件輪郭部分については、上辺中央を上方に湾曲させた輪郭線により囲み枠を設けることは、清涼飲料水等では、比較的多く用いられているといえるから、本件輪郭部分が、需要者に対し、強い印象を与えるものではない。さらに、『ほっとレモン』の書体についても、通常の工夫の範囲を超えるものとはいえない。」として3条1項3号に該当すると判断しました。
3条2項の適用により登録を受けられるかについては、出願商標は「ほっと」と「レモン」の部分を上下二段に横書きにしているのに対し、実際に使用されているものはレモンの図形により輪郭の一部が隠れて見えなくなっていること等から、本件商標が使用されたことにより、需要者において、何人かの業務に係る商品であるかを認識することができたと判断することはできないとして、3条2項に該当しないと判断されています。