KUMA事件

本件はパロディ商標に対する審決取消訴訟です。

スポーツ用品・スポーツウェアのメーカーとして有名なPuma AG Rudolf Dassler Sport(以下Puma社とする。)と全く無関係である会社がPumaのパロディ商標を出願し、登録を受けました。(第4994944号「KUmA」以下、本件商標とします。)

これに対してPuma社は、無効審判を請求し、無効事由として本件商標登録が商標法第4条第1項第7号、第15号に該当することを主張。特許庁は、本件商標登録が商標法第4条第1項第7号、第15号に該当すると判断し無効審決が下されました。原告は、これを不服として審決取消訴訟を提起しました。

知財高裁は、本件商標のブランドシェア等がから本件商標の著名性について認めた上で、本件商標と引用商標の類似性及び、本件商標と引用商標の混同を生ずるおそれについて以下の通り判事しました。

まず、本件商標と引用商標の類似性について知財高裁は、「本件商標と引用商標とを対比すると、両者は、4個の欧文字が横書きで大きく顕著に表されている点、その右肩上方に、熊とピューマとで動物の種類は異なるものの、四足動物が前肢を左方に突き出し該欧文字部分に向かっている様子を側面からシルエット風に描かれた図形を配した点において共通する。両者の4個の欧文字部分は、第1文字が『K』と『P』と相違するのみで、他の文字の配列構成を共通にする。しかも、各文字が縦線を太く、横線を細く、各文字の線を垂直に表すようにし、そして、角部分に丸みを持たせた部分を多く持つ縦長の書体で表されていることから、文字の特徴が酷似し、かつ、文字全体が略横長の長方形を構成するようにロゴ化して表した点で共通の印象を与える。文字の上面が動物の後大腿部の高さに一致する位置関係が共通しており、足や尾の方向にも対応関係を看取することができる。本件商標の上方にゴシック体で小さく表した『KUMA』の欧文字や、引用商標の『A』の欧文字の右下に非常に小さく、円内にアルファベットの大文字の『R』を記した記号は、目立たない位置にあることや表示が小さいこと等により看者の印象に残らない。原告は、両商標の4個の欧文字の書体は文字線の太さや隣接する文字と文字との間隔において構成を異にすると主張するが、前記各文字を子細にみれば、文字の縦線間の隙間の幅が若干異なる等の差異があるとしても、かかる差異は看者の印象・記憶に影響を及ぼす程のものではなく、上記共通点を凌駕するものではない。以上、共通する構成から生じる共通の印象から、本件商標と引用商標とは、全体として離隔的に観察した場合には、看者に外観上酷似した印象を与えるものといえる。」として類似するものと判断しました。

次に本件商標と引用商標の混同を生ずるおそれについては、知財高裁は「上記事情を総合すると、本件商標をその指定商品について使用する場合には、これに接する取引者、需要者は、顕著に表された独特な欧文字4字と熊のシルエット風図形との組合せ部分に着目し、周知著名となっている引用商標を連想、想起して、当該商品が被告又は被告と経済的、組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その出所について混同を生ずるおそれがあるといえる。」として混同が生ずるおそれがあることを認めました。

お気軽にお問合せください!

お問合せ・ご相談

主な業務地域
日本全国

連絡先 お問合せフォーム