Kami No Suna事件 知財高裁平成27年9月29日判決

原告は、指定商品を第21類の愛玩動物用排泄物処理材とする商標「Kami No Suna」(標準文字)について出願をおこないましたが(以下「本願商標」とする。)、登録第1914369号商標「紙の砂」を引用商標として商標法4条1項11号で拒絶されました。原告は、拒絶査定不服審判(不服2014-15437号)を請求しましたが、特許庁は、「本件審判の請求は、成り立たない。」との審決(本件審決)をし、その謄本が原告に送達されました。原告はこれを不服として本件審決取消訴訟を提起しました。
知財高裁は、「本願商標は、『Kami No Suna』の欧文字を標準文字で表してなるところ、該欧文字は、その文字構成に照らし、『Kami』、『No』及び『Suna』の3語を組み合わせてなるものと容易に認識されるものである。この構成からして、それぞれ、日本語の音をローマ字表記(綴り)したものと認識されるところ、『Kami』は『紙』、『神』又は『髪』を想起し、『Suna』は『砂』を想起し、『No』は両者をつなぐ意味での各助詞の『の』を意味するものと考えられる。ところで、本願指定商品である第21類『愛玩動物用排泄物処理材』は、原告も主張するとおり、愛玩動物の排泄物を処理するために用いられるものであって、このうち、猫用のトイレに敷設される砂は、一般に『猫砂』と称されており、紙、ベントナイト、木(おがくず)等の原材料を砂のような粒子状に加工してなるものが広く製造、販売されている。そうすると、本願商標をその指定商品、とりわけ『猫砂』と称される商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、これを構成する『Kami』、『No』及び『Suna』の欧文字部分から、それぞれ、商品の原材料の一つとして用いられている『紙』の語、格助詞の『の』及び商品の性状を比喩的に表した『砂』の語を容易に連想、想起し、その構成全体をもって、『紙の砂』の日本語の音を欧文字を用いてローマ字表記してなるものと理解、認識するといえる。してみれば、本願商標は、その構成文字に相応して、『カミノスナ』の称呼を生じ、『紙の砂』すなわち、紙を材料とする砂粒の意味合いを認識させるものである。引用商標は、『紙の砂』の文字を横書きしてなるものであるから、『カミノスナ』の称呼を生じ、「紙の砂」の意味合いを認識させるものである。本願商標と引用商標とを比較すると、本願商標は、『Kami No Suna』の欧文字を標準文字で表してなるものであるのに対し、引用商標は、『紙の砂』の文字を横書きしてなるものであるから、両商標は、外観において、相違するものである。しかしながら、本願商標は、上記のとおり、取引者、需要者をして、『紙の砂』の音を欧文字を用いてローマ字表記してなるものと理解、認識されるものであり、引用商標との比較において、『カミノスナ』の称呼を同一とし、『紙の砂』の意味合いを認識させる点においても共通するものである。したがって、本願商標と引用商標とは、外観においては相違するものの、『カミノスナ』の称呼及び「紙の砂」の意味合いにおいて同一のものであるから、これらを総合勘案すれば、両商標をそれぞれ同一又は類似する商品に使用したときは、その商品の出所について相紛れるおそれがあるというべきである。」として原告の請求を棄却しました。

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