被告は、指定商品を第5類「玄米又は米ぬかと野菜・大麦若葉又はクロレラを主原料とするサプリメント、その他のサプリメント」とする第5582270号「醗酵玄米菜食ギャバ(標準文字)」(以下、「本件商標」とする)の商標権者です。原告は、本件商標は、指定商品を30類「米糠と野菜を原材料とする粉末状の加工食品」とする第4007111号「玄米菜食」(以下、「引用商標」とする)と類似するので商標法4条1項11号に該当するとして無効審判を請求しましたが、特許庁は、「本件審判の請求は、成り立たない。」との審決をしたので、原告はこれを不服として本件訴訟を提起しました。
本件訴訟の争点は、本件商標から「玄米菜食」部分が要部として分離抽出されるかどうかです。
知財高裁は、「『玄米菜食』は、『玄米を主食、野菜等を副食とする食事法、健康法」を意味する既成語であると認められ(この点について当事者間に争いはない。)、長寿食、自然食として知られるマクロビオテックス(macrobiotics)に基づく食事法に従った食生活をすることをいうものと認められ、一定程度、一般に知られた語であるといえる。しかしながら、本件商標には、まず語頭に『醗酵』との文字があり、これが『玄米』と強く結び付いているにもかかわらず、この『醗酵』を『玄米』から切り離して『菜食』に結び付けた上、9文字ある本件商標の中央の4文字のみを分離抽出することは、著しく不自然な解釈といえる。そして、『玄米菜食』が、原告の出所を示す商標として周知又は著名なものであることを認めるに足りる証拠もない。」として本件商標から、「玄米菜食」を要部として分離抽出して観察することはできないとしました。