CHOOP事件 知財高裁平成23年6月29日判決

原告は、「CHOOP」(以下、「本件商標」とする。)の商標権者です。原告の商標は、引用商標「Shoop」と同一の称呼「シュープ」を生じるものであり、その外観上の相違、観念において両者が比較できないことを考慮しても、類似の商標といえるとして本件商標を4条1項11号該当性を理由として無効としました。原告はこれを不服として本件訴訟を提起しました。
知財高裁は、「本件商標と引用商標は、『シュープ』の称呼を生じ得る点で称呼において類似するものの、外観において相違する。また、特定の観念は生じないと解されるから、観念において類否を判断することはできない。また、本件商標に係る取引の実情をみると、原告は、前記1の(4)のとおり、商標『CHOOP』について、長期にわたり、指定商品等への使用を継続してきたこと、雑誌、新聞、テレビや飛行機内での番組提供、テレビCM等を利用して、宣伝広告活動を実施してきたこと、ファションブランド誌や業界誌にも紹介されていること、『ティーン世代の少女層向けの可愛いカジュアルファッションブランド』を想起させるものとして、需要者層を開拓してきたこと、その結果、同商標は、ティーン世代の需要者に対して周知となっていることが認められる。他方、引用商標を構成する『Shoop』の欧文字は、『セクシーなB系ファッションブランド』を想起させるものとして、需要者層を開拓してきた、そして、商標『CHOOP』の使用された商品に関心を示す、『ティーン世代の少女層向けの可愛いカジュアルファッション』を好む需要者層と、引用商標の使用された商品に関心を示す、いわゆる『セクシーなB系ファッション』を好む需要者層とは、被服の趣向(好み、テイスト)や動機(着用目的、着用場所等)において相違することが認められる。そうすると、本件商標と引用商標とは、外観が明らかに相違し、取引の実情等において、原告による『CHOOP』商標が広く周知されていること、需要者層の被服の趣向(好み、テイスト)や動機(着用目的、着用場所等)が相違することに照らすならば、本件商標が指定商品に使用された場合に取引者、需要者に与える印象、記憶、連想は、引用商標のそれとは大きく異なるものと認められ、称呼を共通にすることによる商品の出所の誤認混同を生じるおそれはないというべきである。」として審決を取消しました。

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