スーパーみらべる事件 知財高裁平成23年12月26日判決

原告は、商標「スーパー\みらべる」について商標登録出願をしましたが、4条1項11号に該当するとして拒絶査定を受けました。そこで原告は、拒絶査定不服審判を請求しましたが、本件審判の請求は成り立たないとの審決を受けました。原告はこれを不服として本件審決取消訴訟を提起しました。
知財高裁は、「本願商標は、赤色の横長矩形内に、上段中央部に片仮名で『スーパー』をやや小さく、下段中央部に平仮名で『みらべる』をやや大きく(後者の縦横の長さは前者の縦横の長さの概ね1.6倍ないし1.8倍である。)、いずれも白色の縁取りがされた黒色の太文字で、横書きしたものである。本願商標中、『みらべる』のひらがな部分は、丸文字風に描かれ、柔らく表記されているのに対し、『スーパー』の片仮名部分は、直線的に描かれているが、赤、黒及び白を配色していることから、鮮やかで、明瞭、かつ、全体として、まとまった印象を与えている。本願商標の『スーパー』の文字部分は、『超』、『上の』、『より優れた』、『スーパーマーケットの略称』などの意味が生じる。他方、本願商標の『みらべる』部分は、これに相当する語はない。平仮名で表記されていることから、日本語として近いものとして挙げてみると、『みられる』、『みくらべる』、『ならべる』等の語を連想させることはあったとしても、そのようなことから、何らかの確定的な観念を生じさせるものではない。したがって、本願商標からは、『【みらべる】との名称のスーパーマーケット』との観念が生じる余地がある。また、本願商標から、『スーパーミラベル』の称呼を生じるとともに、場合によっては、『ミラベル』との称呼が生じる余地も排除できない。...引用商標1は、欧文字『MIRABELL』が、大文字で、垂直に正立した書体により、横書きされ、その下段に片仮名『ミラベル』が小さく横書きされたものである。引用商標2は、欧文字『Mirabell』(先頭の M の文字が大文字、その他の文字は小文字)が、筆記体(斜体)により、横書きされたものである(もっとも、先頭の文字は、Mであるか、他の文字[例えば、U]を表記したものであるかについて、その需要者、取引者において判別できるか否かは不明である。)。引用商標3は、欧文字『MIRABEL』が、大文字で、垂直に正立した書体により、横書きされたものである。引用商標4は、欧文字『MIRABELL』が、標準文字で横書きされたものである。上記『MIRABELL』、『Mirabell』及び『MIRABEL』は、別紙各引用商標目録記載の外観を生じ、『ミラベル』の称呼が生じる。引用商標は、欧文字で表記され、これらの文字列に対応した語は、一般には存在せず、取引者、需要者にとって、その意味を認識、理解することはできないから、観念を生じない(なお、引用商標1、2及び4については、後半の『BELL』、『bell』から、『ベル』や『鈴』を連想する余地はあり得る。)。 ...本願商標は、赤系色の横長矩形内に、上段中央部に片仮名で『スーパー』をやや小さく、下段中央部に平仮名で『みらべる』をやや大きく、いずれも白色の縁取りがされた黒色の太文字で、横書きしたものであって、鮮やかで明瞭な配色により、全体として、まとまった外観を呈しているのに対し、各引用商標は、『MIRABELL』、『Mirabell』及び『MIRABEL』であり、本願商標と引用商標とは、その外観において、著しく相違する。本願商標は、『スーパーミラベル』の称呼を生じるとともに、場合によって、『スーパー』ないし『ミラベル』の称呼を生じる余地があり、これに対し、引用商標は、『ミラベル』の称呼を生じることから、本願商標が『スーパー』、『スーパーミラベル』の称呼を生じる場合には、両者の称呼は類似しないというべきであるが、本願商標が『ミラベル』の称呼を生じる場合には、類似することがある。 本願商標が一般的な観念を生じないと解される場合には、引用商標は格別の観念を生じないので、対比することができず、結局、両商標は、類似するとまではいえない。本願商標が、『【みらべる】との名称のスーパーマーケット』との観念が生じる場合があるならば、引用商標は格別の観念を生じないので、両者は、類似しない。また、原告は、各店舗の出入口の上部に、本願商標とほぼ同一の書体と色彩により「スーパーみらべる」の店舗名の表示を掲げるなどして、本願商標を顧客に対する便益の提供役務に使用している実情があり、引用商標と類似する使用態様がされているとの事実は存在しない。以上によれば、本願商標と引用商標とは、『ミラベル』との称呼において類似する場合があり得たとしても、外観において著しく相違し、かつ観念において類似するとはいえず、取引の実情等を考慮しても、本願商標がその指定役務『【飲食料品】、【食肉】、【食用水産物】、【野菜及び果実】、【菓子及びパン】、【牛乳】、【清涼飲料及び果実飲料】、【茶・コーヒー及びココア】、【加工食料品】の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供』に使用された場合に、引用商標との間で商品ないし役務の出所に誤認混同を生じさせるおそれはないから、両商標は、類似しない。」として審決を取消しました。

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