原告は、ジョイントボックスの形態について立体商標として商標登録出願しましたが、拒絶査定を受けたので、これを不服として拒絶査定不服審判を請求しましたが、請求を不成立とする審決を受けました。原告は審決には【1】3条1項3号に係る判断と【2】3条2項に係る判断の誤りがあるとして本件審決取消訴訟を提起しました。
まず3条1項3号該当性についてですが、知財高裁は、「他のジョイントボックスの形状等を見ても、電気配線の結合部分を覆うためにボックス部分の形状が円筒形のものが多く、より詳細に観察した際には、上部に向かってやや広がっていき、最上端部には縁部が設けられているものが多数存在し、色は透明なものがある上に、本体のカバー部分内部は、結線束を入れるために空洞となっており、本体の上面縁部には、本体を造営材(固定できる部材)に固定するための固定孔が設けられ、本体下方には、汚水の排水用の突起部が存在することは、ジョイントボックスにとって一般的に採用された極めてありふれた形状であるといえる。開口部の弁についても、使用商品にのみ取り付けられているわけではなく、他にもワンタッチでかぶせるジョイントボックスが実際に存在するから、本願商標の弁自体は機能に資する目的のための形状であるといってよい。弁自体は、電気配線の結束部分にかぶせることによって配線の結束部分が弁体を通過し、弁体が戻ろうとする働きによりジョイントボックスが固定されるという、正に機能に資するための形状にほかならないのであって、当該形状は商品の機能向上の観点から選択されたものであり、機能について特許を受けるのは別として、自他商品を識別するための標識としては認識し得ないものというべきである。」として3条1項3号に該当するとした特許庁の判断については誤りはないとしました。
3条2項についても、原告の証拠からでは原告の市場シェア等が不明確であり、原告商標が特別顕著性を有するとは言えないとして3条2項に該当しないとの判断を示しました。