原告は「FLAVAN\フラバン」の二段書き商標について、商標登録出願を行いましたが、商標法3条1項3号及び4条1項16号で拒絶査定を受けました。 原告は、これを不服として本件訴訟を提起しました。
知財高裁は商標法3条1項3号該当性については、「『フラバン』は『植物界に分布する物質であるポリフェノールに属する水溶性の植物性色素であるフラボノイド系に分類される一つの物質群』 を表すことは、審決記載のとおりである。...化学物質の一般名称は、取引の実際の場において、商品の原材料を表示するものとして普通に使用されるものであって、健康志向が高まっている我が 国の社会的状況に照らすと、一般の消費者においても強い関心を抱くことは疑う余 地はなく、ひいては需要者の購買意欲を高める一手段となることも明らかである。そして、『FLAVAN』又は『フラバン』が、今はまだ少ないながらも、現実に健康食品の原材料名として表示されている事実が存在することは、インターネット上のホームページの記載などから明らかである。...以上によれば、『FLAVAN』及び『フラバン』の語が、化学物質の名称を表すものであって、健康食品の原材料として使用され得ることは、商品の研究開発者、取引者などの間において知られており、その語自体、自他商品の識別機能を有しないものであることは明らかである。」として本願商標は、商標法3条1項3号にいう「原材料」に該当すると判断しました。
商標法4条1項16号該当性については知財高裁は、「本願商標は、ポリフェノールに属するフラボノイド系化合物フラバンなる化学物 質の名称を表すものであり、取引の実際において、商品の原材料として使用されているものであるから、仮に審決の時点で一般の消費者に化学物質の一名称として広く認識されていなかったとしても、一般の需要者がその名称を認知し、原材料表示 であると理解するにさほど時間を要しないことは、明らかである。そうすると、本願商標を、その指定商品のうちポリフェノールを含有する植物エキスを主原料とする商品以外の商品に使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものというべきである」として本願商標は商標法4条1項16号に該当すると判断しました。